2013年 06月 16日
雁坂峠へ「国道便所」を見に行った話 |
またまた1年遅れのお話。
ちょうど1年前の今頃、奥秩父の雁坂峠へ行ってきました。
今でこそこの峠のドテッ腹は、埼玉と山梨を結ぶ唯一の車道である「雁坂トンネル」が貫いていますが、かつてトンネルが開通(確か1998年)するまでは、この峠を越える山道(もちろん車両通行不可)が歴とした国道として地図にも載っていました。そして、ここは日本書紀に「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が通った」と記される、日本の歴史上最も古く文献に登場する峠であり、日本三大峠の一つに数えられる由緒正しき場所なのです。
昔から「峠」と名のつく場所が大好き(と言っても走り屋的な意味ではなく)な私は、そんな由緒にあこがれていたのは勿論ですが、それよりも何よりもこの雁坂峠には「国道を跨ぐ公衆便所がある(?)」という話に大いに興味を惹かれ、長年行って見たいと思い続けていた憧れの場所へついに初訪問。ワクワクドキドキです。
自宅を4時前に出発、中央道~勝沼~塩山~国道140号と経由し一旦雁坂トンネルをくぐり秩父側へ抜け、とある道の駅に車をデポ。そこから自転車で少し下ったところが雁坂峠登山口(突出峠道)。登山口の脇に自転車をデポして歩き始める。
初夏の強い日差しと、昨日飲んだバリウム(そう、前日は人間ドックだったのです)のせいか調子がすこぶる悪く、亀のごとく遅々として進まぬ歩み。とはいえ、他人のペースに無理に合わせる必要が無いのが単独行のいいところ。焦らずゆるゆる登ります。単独行サイコー!
途中にあった素朴過ぎる石仏。顔がノッペラボー。
最初はジリジリ照っていた太陽もいつの間にか姿を隠し、少し涼しくなってきた。
ひたすら登ること3時間、ようやく突出(つんだし)峠に到着。
ここからは斜度がゆるやかになるらしい。
山場は越えた(らしい)ので昼食休憩。
樺(かば)避難小屋というとても快適そうな小屋の前のベンチにて店を広げる。
ここまで一人もすれ違わず。やはり奥秩父は人が少なくて良いなー、と思っていたら前方からカラビナをジャラジャラ言わせながら沢タビを履いてメットを被ったオッサン登場。
一人でナントカ沢を攻めてきた、ホントは小屋のすぐ側に出るはずが、最後のツメで方向を間違ってかなり先のほうまで行ってしまった、マイッタマイッタと。
一人で奥秩父の沢を攻めるとはかなりのベテランに違いない。ひとしきり歓談し、お互いの無事を祈りつつ先に出発。
結局この日はこれ以降雁坂小屋に着くまで誰とも会わず。奥秩父恐るべし。
もう山場は越したと気楽に歩いていると、最後の最後に本日一番の急坂登場。
その名も「だるま坂」。
4時間近く登ってきた身には堪えるぜ。
更に霧がどんどん深く濃くなり、まだ昼過ぎだというのにまるで夕方のような暗さに。
一人だとちょっと怖いくらいの幽玄の世界である。暗く陰鬱な、これぞまさしく奥秩父の真骨頂。
そんなこんなで霧の中にようやく雁坂小屋が見えてきたときは心底ホッとした。
周囲の風景に溶け込むような、素敵な佇まいの小屋である。
テント場に行ってみると既に数人の先客。
せっかくなので人気の無い場所を選び今宵の宿を設営。
いやー、雰囲気のある良いテン場だ。
前回まで使っていたテントは売却し、今回からおニューのテント。
高校時代、部の備品だったダンロップテントと全く同じ色(オレンジの本体+青いフライ)というノスタルジックなダンロップの新型。余りの懐かしさに即購入決定してしまいました。
そして、これが噂の「国道便所」。
トンネル開通まで国道だった登山道(黒岩尾根道)の上に立てられた雁坂小屋の便所。
まあ要するに限られた稜線上のスペースを有効活用したらこうなった、みたいな。
最近の山小屋にありがちな近代的なトイレではないけれど、とても清潔で好感の持てる「良い便所」です。
テントを張ったら小屋から徒歩15分の雁坂峠まで空荷で向かいます。
暗く陰鬱な奥秩父の森を抜けるとそこは明るく開放感溢れる峠でした。
峠から山梨方面を望む。
峠を境にこれだけ雰囲気が変わるというのは奥秩父ならでは。
古来から人々の往来が盛んだった峠にふさわしく、なんとも良い「気」に満ち溢れた爽やかな場所でした。いつまでも佇んでいたくなるような。
ひとしきり峠の雰囲気を楽しみ、再び雁坂小屋へ戻り、テントで酒飲みながら読書など。至福のひと時を過ごし、前後不覚で就寝。
翌朝、山梨方面から湧き上がる雲に飲み込まれる山。
帰路は往路とは違う黒岩尾根道を。
今日もまた深い霧に包まれた幽玄な雰囲気の中を下る。
奥秩父には霧が似合うなあ。
ちょうど1年前の今頃、奥秩父の雁坂峠へ行ってきました。
今でこそこの峠のドテッ腹は、埼玉と山梨を結ぶ唯一の車道である「雁坂トンネル」が貫いていますが、かつてトンネルが開通(確か1998年)するまでは、この峠を越える山道(もちろん車両通行不可)が歴とした国道として地図にも載っていました。そして、ここは日本書紀に「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が通った」と記される、日本の歴史上最も古く文献に登場する峠であり、日本三大峠の一つに数えられる由緒正しき場所なのです。
昔から「峠」と名のつく場所が大好き(と言っても走り屋的な意味ではなく)な私は、そんな由緒にあこがれていたのは勿論ですが、それよりも何よりもこの雁坂峠には「国道を跨ぐ公衆便所がある(?)」という話に大いに興味を惹かれ、長年行って見たいと思い続けていた憧れの場所へついに初訪問。ワクワクドキドキです。
自宅を4時前に出発、中央道~勝沼~塩山~国道140号と経由し一旦雁坂トンネルをくぐり秩父側へ抜け、とある道の駅に車をデポ。そこから自転車で少し下ったところが雁坂峠登山口(突出峠道)。登山口の脇に自転車をデポして歩き始める。
初夏の強い日差しと、昨日飲んだバリウム(そう、前日は人間ドックだったのです)のせいか調子がすこぶる悪く、亀のごとく遅々として進まぬ歩み。とはいえ、他人のペースに無理に合わせる必要が無いのが単独行のいいところ。焦らずゆるゆる登ります。単独行サイコー!
途中にあった素朴過ぎる石仏。顔がノッペラボー。
最初はジリジリ照っていた太陽もいつの間にか姿を隠し、少し涼しくなってきた。
ひたすら登ること3時間、ようやく突出(つんだし)峠に到着。
ここからは斜度がゆるやかになるらしい。
山場は越えた(らしい)ので昼食休憩。
樺(かば)避難小屋というとても快適そうな小屋の前のベンチにて店を広げる。
ここまで一人もすれ違わず。やはり奥秩父は人が少なくて良いなー、と思っていたら前方からカラビナをジャラジャラ言わせながら沢タビを履いてメットを被ったオッサン登場。
一人でナントカ沢を攻めてきた、ホントは小屋のすぐ側に出るはずが、最後のツメで方向を間違ってかなり先のほうまで行ってしまった、マイッタマイッタと。
一人で奥秩父の沢を攻めるとはかなりのベテランに違いない。ひとしきり歓談し、お互いの無事を祈りつつ先に出発。
結局この日はこれ以降雁坂小屋に着くまで誰とも会わず。奥秩父恐るべし。
もう山場は越したと気楽に歩いていると、最後の最後に本日一番の急坂登場。
その名も「だるま坂」。
4時間近く登ってきた身には堪えるぜ。
更に霧がどんどん深く濃くなり、まだ昼過ぎだというのにまるで夕方のような暗さに。
一人だとちょっと怖いくらいの幽玄の世界である。暗く陰鬱な、これぞまさしく奥秩父の真骨頂。
そんなこんなで霧の中にようやく雁坂小屋が見えてきたときは心底ホッとした。
周囲の風景に溶け込むような、素敵な佇まいの小屋である。
テント場に行ってみると既に数人の先客。
せっかくなので人気の無い場所を選び今宵の宿を設営。
いやー、雰囲気のある良いテン場だ。
前回まで使っていたテントは売却し、今回からおニューのテント。
高校時代、部の備品だったダンロップテントと全く同じ色(オレンジの本体+青いフライ)というノスタルジックなダンロップの新型。余りの懐かしさに即購入決定してしまいました。
そして、これが噂の「国道便所」。
トンネル開通まで国道だった登山道(黒岩尾根道)の上に立てられた雁坂小屋の便所。
まあ要するに限られた稜線上のスペースを有効活用したらこうなった、みたいな。
最近の山小屋にありがちな近代的なトイレではないけれど、とても清潔で好感の持てる「良い便所」です。
テントを張ったら小屋から徒歩15分の雁坂峠まで空荷で向かいます。
暗く陰鬱な奥秩父の森を抜けるとそこは明るく開放感溢れる峠でした。
峠から山梨方面を望む。
峠を境にこれだけ雰囲気が変わるというのは奥秩父ならでは。
古来から人々の往来が盛んだった峠にふさわしく、なんとも良い「気」に満ち溢れた爽やかな場所でした。いつまでも佇んでいたくなるような。
ひとしきり峠の雰囲気を楽しみ、再び雁坂小屋へ戻り、テントで酒飲みながら読書など。至福のひと時を過ごし、前後不覚で就寝。
翌朝、山梨方面から湧き上がる雲に飲み込まれる山。
帰路は往路とは違う黒岩尾根道を。
今日もまた深い霧に包まれた幽玄な雰囲気の中を下る。
奥秩父には霧が似合うなあ。
by namifujisan
| 2013-06-16 22:39
| 山